大阪心斎橋にある占い館【占龍館】で
占い師をしております。真成です。
シリーズ:【過去の後悔、愚かな私、死の体感】賢者占人、真成の半生
私の占い師になる迄にあった、色んな過去の事を記載しようと思います。
前回までのお話しはこちらをお読みください。
43話 日々の鍛錬②
ある日、母に呼ばれ、初めて会うお客様のもとへ向かった。
事情も知らず、その場に座った私に、母が問いかけた。
「どう思う?」
何も情報はない。聞いてもいない。それなのに――
口が勝手に動いた。
心の奥底から湧き上がる言葉が、止められない勢いであふれ出す。
見えない存在との対話が始まり、目の前のお客様のために、言葉が走り出す。
思考を追い越し、体が勝手に動き、声だけが真っ直ぐに相手へ届いていく。
その瞬間、私は気づいた。
あの日々の鍛錬は、苦しみも恐怖も、すべてはこのためだったのだと。
積み重ねた痛みの先に、誰かを救う力が芽生えていたのだと。
胸が震えた。長い年月の意味が、ようやく形となって目の前に現れた。
――あの過酷な日々は無駄ではなかった。
それは、私の人生が本当の役目へと踏み出す始まりの瞬間だった。

つづく、、
